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SNSに記載されていた情報です。【突然倒れて呼吸困難に陥り、そのまま亡くなった10歳のバーニーズ・マウンテン・ドッグ。その心臓の中から出てきたのは、おびただしい数の「生き物」でした。 まるで「そうめん」のような色・形・大きさの虫が、心臓の中に十数本とぐろを巻き、うごめいていたのです。 1年ほど前から咳をするようになって、最近は散歩もしぶるようになっていたんだけど。年のせいだろうと思って、結局、動物病院には連れていかなかったんだよね」と、愛犬の遺体を抱えてこられた飼い主さんは語りました。】 心臓の中でとぐろを巻く無数の生き物は、フィラリア(犬糸状虫)です。成虫は体長20〜30センチにもなり、そうめんに瓜二つです。ひと昔前までは、イヌの死因のトップはフィラリア症でした。現在はフィラリアによく効く予防薬があり、それを定期的に投与していれば、飼いイヌがフィラリア症を発症することは、ほぼ100%防げます。しかし、このバーニーズ・マウンテン・ドッグの飼い主さんは、フィラリア症の症状が出ていたにもかかわらず愛犬を動物病院に連れていかず、そもそもフィラリア症の予防を行ってもいませんでした。フィラリアの予防薬には、大きく、飲み薬、滴下薬(スポットタイプ)、注射という3つのタイプがあります。飲み薬であれば、皮膚が弱い子にも使えて比較的安価。滴下薬であれば、飲み薬を吐き出してしまうような子にも確実に投薬できます。注射であれば、飲み薬や滴下薬が複数回の投与が必要なところ1年に1回の注射で通年の予防ができる……など、それぞれにメリットがあります。 ただし、すでに感染している場合は予防できません。大事なのは、予防薬を投与する際には、事前に感染がないかの確認をすることです。すでにフィラリアに寄生されていた場合、子虫が少なければ駆虫薬で比較的安全に駆除できます。しかし、心臓内などにすでに成虫や大量の子虫がいる場合、駆虫薬でフィラリアを一斉に死滅させると、イヌの体がショックを起こす危険性があります。なので、フィラリア症は予防が最も大事なのです。蚊が活動を始める今から、いなくなる12月頃までが、フィラリア症予防が推奨される期間です。ちなみに、ネコやフェレットでも、フィラリアに罹ることがあります。ネコの場合、免疫が体内に侵入してきたフィラリアの大半を殺しますが、まれにその免疫から生き延びたフィラリアが心臓や肺の血管に到達することがあるのです。ネコのフィラリア症の診断は難しく、これまでネコの突然死として見過ごされてきたケースの中に、フィラリアによって引き起こされた死があった可能性は高いと思われます。 現時点では、ネコのフィラリア症予防はイヌと比べてそれほど一般的ではありませんが、イヌと同様に注意が必要です。ネコ用のフィラリア症予防薬がありますので、不安を覚える飼い主さんは、予防をお勧めいたします。フィラリア症の予防薬には、同時にマダニやノミも予防できる薬があります。最近ではイヌを連れてレジャーを楽しむ方も増えており、マダニが寄生するリスクも高まっていますので、併せて予防することをお勧めします。
それでは今週も当院で写真を撮った子たちの写真を掲載します。 写真を撮った方は是非お家のわんちゃんねこちゃんを探してみて下さい。
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